Googleの大規模言語モデル「Gemini 2.0 Flash」が2025年3月12日(米国時間)に画像生成機能を追加し、話題を集めています。テキスト入力だけでなく、画像の編集や生成が可能になり、SNSでは驚きの声が多数寄せられています。実はこの記事のサムネイル画像もGeminiで生成したものなのですが、気づきましたか?Geminiの画像生成機能の特徴や活用法について詳しく解説します。
2025年3月に登場した画像生成機能の全容
Googleが開発した大規模言語モデル「Gemini 2.0 Flash Experimental」に、2025年3月12日に新たな機能が追加されました。このアップデートで特に注目されているのが、テキストプロンプトから画像を生成する機能です。単純な画像生成だけでなく、既存画像の編集機能も充実しており、チャットによる短い指示で画像内の物体の削除・追加、カラーリング、背景の変更などができるようになりました。
実際にSNSでは、この画像生成機能を試したユーザーの投稿が相次いでいます。例えば正面を向いている人物を横から映すといったカメラアングルの移動や、画像内に日本語を正確に入力できたとする報告があり、その手軽さと高精度な結果から「衝撃的」「マンガ制作に使えるのでは」などの意見が見られます。
記者が試したところによると、画像内の物体の削除や日本語の追加といった編集がチャットの指示だけで可能でした。また、カメラアングルの変更も、多少のゆがみが生じるケースもあったものの、大幅な移動が可能だったとの報告もあります。さらに複雑な編集として、ラーメンの器を空にした後、器の底に日本語を印刷するといった細かな操作もできています。
Gemini画像生成機能の技術的特徴
Gemini 2.0 Flash Experimentalの画像生成機能は、開発者向けに先行リリースされたもので、現時点では完全な正式版ではありません。現在はGoogleのAI開発プラットフォーム「Google AI Studio」と「Gemini API」で利用可能となっており、今後ユーザーからのフィードバックをもとに製品版の完成を目指すとされています。
生成された画像には、AIで作成されたことを示す「SynthID」という電子透かしが自動的に埋め込まれます。これは、AI生成画像の識別を容易にし、偽情報の拡散防止に貢献する技術です。
また、Google AI Studioでは「Images and text」という出力形式を選択することで画像生成機能を有効化できます。例えば「3Dアートスタイルの小さなウミガメが、海岸を散歩している画像を作成してください」のようなプロンプトを入力するだけで画像が生成され、さらに「夜の海岸にしてほしい」「キャラクターに帽子をかぶせたい」といった追加指示も可能です。
無料版と有料版の違いと制限事項
Geminiの画像生成機能には、無料版と有料版で大きな違いがあります。2025年2月の情報によると、無料版のGeminiでは人物の画像生成はできない制限が設けられています。この制限は、サービス開始直後に発生した問題に対応するための措置です。
Geminiが画像生成機能を当初公開した際、「歴史上の人物の描写が不正確だ」などの指摘があり、特定の人種の組み合わせを指示すると応答を拒否するケースが報告されました。こうした問題から「人種差別的だ」といった批判が寄せられ、Googleは2024年2月頃に人物画像の生成機能を一時停止しました。
その後、Googleは画像生成AIモデルを改良し、不正確な描写の改善に取り組んだ結果、有料版のGemini(Gemini Advancedなど)では人物画像の生成が可能になっています。ただし、英語プロンプトが必須となる点に注意が必要です。
noteサムネイル作成に活用するユーザー事例
Geminiの画像生成機能は、特にnoteなどのブログプラットフォームでのサムネイル画像作成に活用されています。2024年10月にGeminiに画像生成機能が追加されて以降、多くのユーザーがサムネイル作成に利用しているようです。
あるnoteユーザーの体験談では、「記事に合う画像にしたいけれど、なかなか合致するものが見つからない。自分で描いたり作ったりすることもできないし」という悩みがあり、そんな時にGeminiで画像生成ができることを知ったことが紹介されています。
また別のユーザー事例では、「探偵のような白いうさぎが虫眼鏡で物を観察するイラスト」というようなプロンプトで画像を生成していることが報告されています。このユーザーはプロンプトの構成に工夫を凝らし、「次の条件で画像を作成」といったざっくりした指示に続けて、「白いうさぎが」「探偵のような場所で」「虫眼鏡を覗いている」といった具体的な要素を組み合わせて指示していました。
画像生成における著作権と倫理的配慮
AIで画像を作成する際には、著作権や倫理面の配慮も重要です。Geminiの画像生成における主なルールや注意点として、以下のような制限があります。
実在の人物や有名人の画像生成は禁止されています。これは他人の肖像権(プライバシー権)を侵害する恐れがあるためです。勝手に有名人そっくりの画像を作って公開することは避けるべきでしょう。
また、既存の商標ロゴやキャラクターが含まれる画像の生成も注意が必要です。他社のロゴマークや漫画・アニメのキャラクター風の画像を作ると、知らず知らず第三者の著作権や商標権を侵害してしまう可能性があります。「ミッキーマウスの絵」などの指示をしても、生成されないよう調整されています。
さらに、暴力描写やわいせつな内容の画像生成を行わないよう設計されており、極端に残酷なシーンや露骨な性的表現を含む指示は受け付けられません。子ども(未成年)の姿を生成することも現在はできないなど、様々な制限が設けられています。
ビジネス向けGemini統合とGoogle Workspaceの変更
2025年1月、GoogleはGoogle WorkspaceのBusinessプランとEnterpriseプランにおいて、Geminiなどの生成AI機能を統合することを発表しました。これに伴い、Gemini for Google Workspaceアドオンを購入する必要なく、Geminiサイドパネルなどの生成AI機能が利用できるようになります。
この統合にあわせて、2025年3月17日より料金改定が順次行われる予定で、Business Standardエディションの年間プランでは、従来の月額1,360円から改定後は月額1,600円へと値上げされることが発表されています。
また、Google ドライブの Gemini サイドパネルにはフォルダのサポートが追加され、ユーザーはサイドパネルからフォルダをドラッグ&ドロップしたり、@メンションで指定したりすることで、フォルダ内のコンテンツに関する質問や分析を Gemini に依頼できるようになりました。
結論:Geminiの画像生成が変えるコンテンツ制作の未来
Geminiの画像生成機能は、テキストだけでなく視覚的なコンテンツ制作の可能性を大きく広げています。特にサムネイル画像やイラスト制作、画像編集などの分野で、専門的なスキルや高価なソフトウェアを持たないユーザーでも手軽に高品質な画像を作成できる点は大きな魅力です。
YouTubeの動画解析機能と組み合わせることで、テキスト・画像・動画をまたいだ多様な情報をより簡単に扱える環境が整いつつあります。こうした技術の進化は、個人クリエイターからビジネスユーザーまで幅広い層のコンテンツ制作をサポートするでしょう。
なお、本記事のサムネイル画像もGeminiの画像生成機能を使用して作成したものですが、お気づきでしたか?AIによる画像生成は今後ますます身近なものとなり、私たちの創作活動や日常生活に溶け込んでいくことでしょう。生成AIの進化とともに、私たちの創造性の可能性も広がっています。
コメント
Geminiの進化が止まりませんね