CPUの純正クーラーは本当に使えるのか?メリットとデメリットを徹底検証

CPUを購入すると付属している「純正CPUクーラー」(リテールクーラー)。これは必ず交換すべきものなのでしょうか?それとも十分な性能を備えているのでしょうか?この記事では、Intel・AMD両社の純正CPUクーラーの実力を徹底検証し、メリット・デメリットを詳しく解説します。自作PC初心者から上級者まで、CPUクーラー選びの参考にしてください。

なぜCPUクーラーは重要なのか?

CPUは動作中に熱を発生させます。この熱を適切に冷却しないと、CPUの性能が低下したり、最悪の場合故障の原因にもなります。CPUクーラーは、CPUの温度を適切な範囲に保ち、安定した動作を維持するために不可欠なパーツです。

純正CPUクーラーとは?

純正CPUクーラーとは、CPUメーカー(IntelやAMD)からCPU購入時に付属する冷却装置のことです。主に以下の2種類があります。

  • Intelの純正クーラー: 最新の第12~14世代CPUではLaminarシリーズを採用。コンパクトでシンプルな設計が特徴です。
  • AMDの純正クーラー: 「Wraith」シリーズが有名で、性能によって数種類あります。Wraith PrismはRGBイルミネーション機能を搭載し、見た目も重視したモデルです。

Intel vs AMD:純正クーラーの性能差

Intelの純正クーラー (Laminar RM1)

  • 高さ: 約47mm (コンパクトサイズ)
  • 対応TDP: 65Wまで
  • ファン回転数: 600~3150RPM
  • 騒音レベル: 29dBA (2400RPM時)
  • 固定方法: プッシュピン式 (工具不要)

Intelの純正クーラーは、コストカットの影響で最近はフルアルミ製のモデルが増えています。冷却性能は高性能とは言えず、高性能CPUでの高負荷時の冷却には不十分な場合があります。

AMDの純正クーラー (Wraithシリーズ)

AMDの純正クーラーには主に3種類あります。

  1. Wraith Prism: Ryzen 9 7900、Ryzen 7 7700などに付属する最上位モデル。RGB LED制御機能付きで、冷却性能も高いです。
  2. Wraith Spire: Ryzen 7 8700G、Ryzen 7 5700などに付属する中位モデル。
  3. Wraith Stealth: Ryzen 5 7600などに付属する標準モデル。

AMDの純正クーラーは、一般的にIntelのものより冷却性能が高いと評価されています。

純正CPUクーラーのメリット

  • コスト削減: 追加費用が不要。CPUに付属しているため、別途CPUクーラーを購入する必要がありません。
  • 取り付けが簡単: CPUに最適な取り付け方法が採用されており、工具不要で簡単に取り付けられます。
  • 標準的な使用には十分な性能: 通常のオフィス作業や軽いWebブラウジングなどの一般的な用途では問題なく機能します。
  • 見た目が良い (特にAMD): AMDのWraith Prismは、RGB LEDイルミネーションを搭載しており、ゲーミングPCの見た目にこだわるユーザーにもおすすめです。

純正CPUクーラーのデメリット

  • 冷却性能が限定的: 高負荷時の冷却性能が不十分な場合がある。ゲームや動画編集など、CPUに高い負荷がかかる作業を長時間行うと冷却が追いつかなくなる可能性があります。
  • サーマルスロットリングによる性能低下: 温度が高くなりすぎると、CPUは自動的に動作クロックを下げて熱を抑える「サーマルスロットリング」が発生し、本来のCPU性能を発揮できなくなります。
  • 騒音が大きい: 高負荷時にファンの回転数が上昇して冷却しようとするため、騒音が目立ちます。
  • 寿命が比較的短い: CPUクーラーのファン寿命は約3~7年程度。長期間使用すると性能が低下します。

実際のベンチマークデータ

CPUクーラーCPUモデル高負荷時温度 (℃)
Intel Laminar RM1Core i7-1470090~100
AMD Wraith PrismRyzen 9 790065~86
AMD Wraith StealthRyzen 5 760084.8~90

上記はあくまで一例です。使用環境やCPUの個体差によって温度は異なります。

どんな用途なら純正クーラーで十分か?

  • 一般的なオフィス作業: 文書作成、Webブラウジングなど
  • TDP 65W以下のCPU使用時: Intelの非K付きモデルやAMDの65Wモデル
  • 短時間の中程度負荷: 軽いゲームや短時間の動画編集など
  • 予算重視の構成: 追加コストをかけたくない場合

社外品クーラーを検討すべき状況

  • ゲーミングや動画編集などの高負荷作業を頻繁に行う場合
  • オーバークロックを検討している場合
  • TDP 95W以上の高性能CPUを使用する場合
  • 静音性を重視する場合
  • 夏場など高温環境でPCを使用する場合

純正クーラーの交換時期

  • 使用開始から約3年経過した場合
  • CPUの温度が以前より高くなったと感じた場合
  • ファンから異音がする場合
  • 高負荷時にPCの動作が不安定になる場合

まとめ:純正クーラーは使えるのか?

純正CPUクーラーは、使用目的と環境によって十分使える場合と不十分な場合があります。

純正クーラーを使うべき人:

  • 予算を抑えたい自作PC初心者
  • 一般的な用途でPCを使用する人
  • TDP 65W以下の低~中性能CPUを使用する人
  • 特にAMDのWraith Prism/Spire付属CPUを購入した人

社外品クーラーに交換すべき人:

  • ゲームや動画編集などの高負荷作業をする人
  • オーバークロックを行いたい人
  • 静音性を重視する人
  • 特にIntel純正クーラーを使用している人

CPUクーラーの選択は、コストと性能のバランスを考えて判断しましょう。軽い使用なら純正クーラーで十分ですが、PCのパフォーマンスを最大限に引き出したい場合は、社外品クーラーへの投資が価値ある選択となります。

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